《サンデー毎日(12・25号)》に〈「
フクシマ」を再び考える〉という特集が設けられ、倉本聡、菅原文太、秋山豊寛、中村安希という面々が、談話を発表している。
特に、原発被災者となられた秋山さんの談話が切実である。以下に、全文引用する。
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原発爆発後の3月12日の午後2時半、私は逃げ出しました。15年営んでいた
農場は
福島第一原発から32キロの阿武隈山系の中腹にありました。2キロ向こう側に小屋を建ててたら30キロ圏内の仮払い補償金100万円を東電からもらえたのにという気がしないではありませんが・・・。ごく最近、30キロ圏外で自主避難した人に一律8万円だけ渡すと発表されました。あまりの小額で、人をバカにしている気がして唖然としています。
原発事故をめぐる闘いの最前線はいくつかあります。第一に、「
放射線量が低ければ大丈夫」という行政と原子力ムラを挙げての安全
宣伝に対する闘いです。福島県の放射線アドバイザーは山下俊一・福島県立医科大副学長。彼のように放射線学の主流だった人たちが中心になって「安全だ」「大丈夫だ」と宣伝しています。WHO(世界保健機関)が定めた水道水の安全基準は1キロあたり10ベクレルなのに、政府の暫定基準値は300ベクレルというでたらめな数字です。
こうした規準を基にコメが栽培・出荷されています。セシウムは暫定規制値以下ですが、「非検出」ではないのです。良心的な人は売りません。特に有機農家の仲間たちは作ったけど売らないという決定をせざるを得ない。私はシイタケ農家でしたが、今年から営農を中断しています。キノコ類はセシウムを吸収しやすいからです。私の仲間が今春、試しに栽培してみたところ、出荷できない数値が出ました。農作物は作ってみて規制値以下なら出荷でき、規制値を超えていれば補償がもらえる仕組みです。暫定規制値以下でも福島県産の農作物を買ってもらえないのは、風評被害ではなく
消費者の知恵です。
事故後の被爆量をレントゲンを撮った時や飛行機に乗った時と比べる図が
テレビによく出てきました。1930年代までは強いレントゲンを
妊婦に照射していました。白血病や流産が多いので調べてみると、レントゲンが原因だと分かった。学者が大好きな「統計学的に有意な結果」が出たのです。検査対象者の安全確保が第一ではないという点で、山下氏らが全県民を対象に実施している
健康調査も同じです。私から見ると人体実験。私はモルモットになるのは嫌だし、「直ちに健康に影響がない」と言われても、直ちに信じられないので逃げ出しました。
次なる闘いの最前線は補償問題です。政府や行政の測定は後手後手に回っている印象がありますが、あれはむしろ調べないようにしているとみるべきです。調べて数字が出たら補償の証拠になってしまうからです。自分たちで測らなきゃいけない時代なのです。
シイタケ農家は本当は今ごろ、来年のホダ木を準備している時期です。農政局はとりあえず3本切って、おがくずが全部規準値以下だったら伐採を始めてよいと指導しています。そんなことをやってたら原木を切り出すころには雪が積もってます。そもそも原発にはまだ蓋(フタ)がされていない。風向きによっては放射性物質が飛んでくる可能性がある。
農業ができず落ちこんでいるのではと心配してくださる方がいます。私は被災者ではありますが泣いて過ごしているわけではありません。怒りに燃え、血がたぎっているので大変元気です。
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