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村上春樹 “怪現象” について [本・書評]

印刷しすぎて!? 村上春樹の『騎士団長殺し』バカ売れでも“大赤字”の怪現象
2017年7月30日
http://news.livedoor.com/article/detail/13407515/

ニュース

怪現象でもなんでもない。ただ、刷りすぎただけのハナシである。騒ぐ方がおかしい。

今、書籍関係の新聞広告には、20万冊とかの数字が出て、いかにも売れているかの印象を与えるが、実際に売れた数ではなく、刷った数であることを、しばらく前に聞いた。

どれほど売れたにしても、刷った数の方が、売れた数より多ければ、印刷・製本等にかかった費用がその分ムダになることは当然で、膨大な数を刷ったツケが「赤字」として回ってきたという、あまりにも当然の話だ。

広告にある、○○万部の数字を見るたびに、当方は、「ああ紙がもったいない」と思う。所詮、ブックオフに回って、叩き売られるのはまだイイほうで、多くは、読まれることなく断裁されて、そのままゴミになるばかりである。


以前、村上春樹“現象”について、著者ご本人が、自分の著作が10万部売れたあたりから、ワケがわからなくなったようなことを(どう表現していたか具体的な記述は忘失)、書いていたように思う。

以下の記事など見ると、村上春樹“現象”は、丸っきり出版社・書店・マスコミの印象操作であることが分かる。春樹さんの作品の持つ魅力や力そのものを実のところ理解していない人たちが、他の人が○○万部読読んでいることへの同調圧力から手にして、分かったかのように騒ぐのに乗じ、さらに新刊に際して、印象操作の追い討ちをかけたものの、表面的にしか理解できない人たちが、長距離ランナーでもある春樹さんに、ついには振り切られてしまったというのが、『騎士団長殺し』があまり売れないこと、理解されていないことの理由であるように当方は思う。

「村上春樹現象」という捏造された幻想…読書イベントはたった9人、語り合いなく静かに解散2017.04.01
http://biz-journal.jp/2017/04/post_18547_2.html

かく言う当方は、春樹さんとのイイ出会いをしなかったせいもあって、そのメインの作品すら読まずにきた。ブックオフで『中国行きのスロウボート』を手に入れ、読み始めたものの、途中でヤメテそれ以来読んでいない。それでも、第三の新人たちを扱った評論はオモシロイと感じた。分析しながらよく読んでいると感じた。その点、大江健三郎さんの作品と似ている。小説はさほどでもないが、評論はオモシロイ。大江さんの場合も、『飼育』『死者の奢り』を読みかじった程度であるから、そもそもが、お二方ともに、その文学全体を評価できる立場に当方はない。

若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)

若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/10/01
  • メディア: 文庫



それでも、以下の論評を見ると、本当にその文学の(つまりは、春樹さんの人間、作家としての)成長を見守り、共に生きてきた人々(本物のハルキスト)にとっては、振り切られそうになっても追い続けないといけない作品なのではないかと思う。

村上春樹「騎士団長殺し」は期待通りの傑作だ 「文芸のプロ」は、話題の新作をどう読んだか
http://toyokeizai.net/articles/-/160447


そもそもが、小説や文学をカネ儲けの種にするのがヘンなのである。カネ儲けの種になるのがヘンなのである。その点、丸山健二の意見が正しく思う。それは、売れない作家の負け惜しみの感がないでもないが、文学などというものは、その程度のものであるように思う。

『卑小なる人間の偉大なる精神』 丸山健二
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2012-02-20

それでも、そこにイノチを懸けざるを得ないのが、作家(の業)というもので、その作品に理解共鳴賞賛する人がじわじわ増え、そして去り、残された(渡部昇一さんが「20世紀イギリス最大の小説家と言われるアーノルド・E・ベネットの言葉を引用して語る)「ア・パショネット・フュー(a passionate few)」のおかげで、その作品が古典として生き残るのであろうように思う。

渡部昇一『書痴の楽園』 #45 知の巨人のラストメッセージ① ~巨人が愛した作家たち〜
https://www.youtube.com/watch?v=uj2_S8okMlU


どんなに優れた作家でも、現行の作家の現行の作品は、汗や糞尿とあまり変わることのない、今生きていることを証明するモノでしかないように思う。

イノチ懸けでしていることが、糞尿と同じではさびしいが、せいぜいソンナモンと深沢七郎なら言いそうだ。

所詮雲子
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2006-03-03

楢山節考 (新潮文庫)

楢山節考 (新潮文庫)

  • 作者: 深沢 七郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1964/08/03
  • メディア: 文庫



笛吹川 (講談社文芸文庫)

笛吹川 (講談社文芸文庫)

  • 作者: 深沢 七郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/05/11
  • メディア: 文庫



みちのくの人形たち (中公文庫)

みちのくの人形たち (中公文庫)

  • 作者: 深沢 七郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/05/23
  • メディア: 文庫



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