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3:「奔馬」(三島由紀夫著)から [本・書評]

今、「奔馬」を読み進めている。

裁判官で、故人となった侯爵御曹司の親友であった本田は(作品中、「理性」を代表している、その本田が)、飯沼勲が親友の転生であることを得心せざるを得なくなる。御曹司の死後託された「夢日記」と眼前のなんらかの出来事とが一致したらしい。(三島はそのあたりをうまく隠して著述を急ぐ)。

飯沼勲は、日本に巣食う腐敗を祓うために、「昭和の神風連」となることを願い、信頼できる同志を集め、陸軍中尉らの協力も取り付ける。しかし、決起寸前、中尉の協力は翻される。それで、変電所を襲い、日銀を襲撃し、要人を暗殺し、戒厳令を敷かせる計画は変更を余儀なくされる。

やむをえず、要人暗殺のみに計画をしぼり、「一人一殺」の計画を策定しているところ、警察に捕縛される。

・・・というくだりまで、読んだ。


読みつつ思うことは・・・

三島は、「奔馬」を書くことによって、みずから行おうとしている昭和維新(三島事件)への動機を高め、かつ、それが、失敗に終わることをも予想しつつ、失敗を受け入れるための準備としていたように思われる。

また、自分の死後、将来の「純粋な同志」のために備えていたようにも思われる。事実、一読者として、飯沼勲に感情移入していくと、三島由紀夫の煽動を経験するように仕組まれてある。また、記されている計画は、今日でも、有効な方法であるようにさえ思われる。


昨今の国状を、昭和初期、満州事変の頃のようであると感じている人たちがいる。

http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2008-11-19

そう思うと、三島は自分が命を絶ったあとも、日本の「国のかたち」は変わらず、いよいよ腐敗の度は増し、けがれと汚濁に満ち、掃き溜めのようになるなか、空を仰ぐ純白の鶴のように、将来必ず自分と志を同じくする者が立ち上がり、飛翔を夢見ることを念頭に書いていたのかもしれない。

飯沼勲のような「純粋な」青年が、今日、この日本のどこかの片隅で、ひそかに集まり、計画を練り、予行演習をしているやもしれない。

そして、そのようにしている「貴様こそ、俺の転生である」「俺は、貴様をとおして『七生報国』する」と、三島は言いたかったのかもしれない・・・。


たいへん危険な本である。


奔馬―豊饒の海・第二巻 (新潮文庫)

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  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: ペーパーバック



五衰の人―三島由紀夫私記 (文春文庫)

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