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2 東京へ (近世日本人代表ミイラ-戦前の出版検閲・展示~出版文化を代表する「顔」に会う)

国立科学博物館には、開館と同時くらいに入った。9時ちょっと過ぎだ。それから、熊楠展のほかいろいろ見た。展示の多さに、きちんと見たなら2日はかかるのではないかと思った。日本館と地球館とあるが、日本館をだけ見た。そのなかで、江戸時代の女性ミイラに目を奪われた。黒ずんではいるものの皮膚もきちんとあり、その顔立ち、おもかげも分かる。皮膚の弱い口もとは欠損している。まるで、そのことを恥じらうように、下を向いている。その写真撮影は禁じられていた。遺体の尊厳を守る意図らしい。そのことがパネルに示されている。展示を逡巡したものの、近世日本人の代表として展示するといった主旨だった。名も無い江戸時代の女性ミイラが、近世日本人を代表している。オモシロイと思った。科博を出たのは、11時を過ぎていた。

それから、御茶ノ水の古書会館での『戦前の出版検閲を語る資料展』に向かう。
http://jimbou.info/news/kenetsu_03.pdf

古書会館は、御茶ノ水駅・御茶ノ水橋口を出てすぐと思っていたが、ずっと坂を下る必要があった。展示は、古書会館の2階のスペースを用いたもの。以前NHK・ETV特集で放映された「禁じられた小説 七千枚の原稿が語る言論統制」という番組を見ていたので、おおよそその内容には予想がついた。ひとり展示を見ていると、あとから誰か入ってくる。「こういう時代がまた来るともかぎらないね。今のようすじゃね」と会話している。展示でオモシロイと思ったのは、昭和天皇の写真が検閲に引っかかった理由だ。大礼服を着た天皇が、溥儀を迎えている写真。溥儀に挨拶をしているその横顔の下唇が突出して写っていることが、天皇の尊厳を損なうということであったらしい。置かれていた《千代田図書館蔵「内務省委託本」調査レポート 総集編 第1号~第16号》を貰って出る。139ページもある立派な資料だ。

ナチス発言が非難されるのは健全か?
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2013-08-03

それから、坂をくだって駿河台下交差点まで降り、古書街を西へ向かう。神田古書センターへ向かう神保町の交差点で、思いがけない方に会う。いかにも本の街にふさわしい、あまりにも出来過ぎという人物である。帽子をかぶったメガネの人物である。アッと意識下でなにかが動いた感があった。アチラもアッという表情をした。たぶん、見られた。見破られたという感覚であろうと思う。通り過ぎて振り向いたときにはすでに人ごみの中に消えていた。良い読者でもなく、テレビでお顔を拝見している程度である。そんな者にいちいち挨拶などされていては迷惑にちがいない。

帰宅してから、「半藤一利」でグーグルの画像検索をする。まちがいなく、ご本人である。当方、子どもの頃から警察の鑑識に入ったほうがいい、と言われてきたほうなので、まず間違いないと思う。編集者として白カッパ(司馬遼太郎)や黒カッパ(松本清張)らと親しくつきあい、みずから作家として活躍してこられた方である。夏目漱石の孫娘が奥様である。当方から見れば、日本の出版文化を代表するような方である。そうした「顔」にめぐり合えたのは、なにかの縁にちがいない。

今回、東京に出て。人の多さをあらためて感じた。多くがつまらない顔をして歩いている。当方もおなじようにつまらない顔をして歩いていたことだろう。そうした中で、「顔」として識別される方もいるということだ。日本人口1億3千万中、街をあるいていて、「顔」として認知される人物は希少である。おなじ人として生まれた以上、いい意味で、認知されるようになりたいものである。もっとも、著名な「顔」になどなるとプライバシーのことなど面倒くさいことも多いちがいないが、どうせならである。

もっとも、仮にそうなったとしても、科学博物館の女性ミイラのように、日本人の代表として選ばれるのは、無名の人物ということもある。


作家・半藤一利さんインタビュー(下) 冷徹に時代見る目必要 明治維新150年
http://www.saga-s.co.jp/articles/-/166245


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