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人間は「情報のカタマリ」、つまり「本」みたいなモノ [本・書評]

図書館の除籍本をもらった。読書感想文の書きかたについての本だ。

中学生を対象にしたもので、書き方だけでなく、本との出会い方も示されている。


読むことは生きること―読書感想文の書き方 中学生向き

読むことは生きること―読書感想文の書き方 中学生向き

  • 作者: 紺野 順子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2000/05
  • メディア: 単行本



本との出会いについて、次のように記されている。

〈私たちは、毎日の暮らしのなかで多くの人と出会い、おたがいに影響しあいながら生きている。さりげない出会いもあれば、なかには、一生の方向を決めてしまうほど、大きな意味をもつ人との出会いもある。本との出会いも、またこうした人との出会いに似ている。なんとなく手にし、忘れ去っていく本との出会いもあるが、人の生涯を決めてしまうほどの「一冊の本」との出会いもある。 / それほど決定的なものでないにしても、すぐれた読書感想文を書くためには、書くに値するすぐれた本との出会いが必要だろう。つまらない人とつまらない時間を共にしても、なんの「感動」も残りはしない。つまらない本を読んでも、読書感想文を書こうという気持ちにはならないだろう。感想文を書くには、「感動」する本との出会いが、まずなければならない。(p24)〉


〈それでは、自分ならではの一冊に出会うためには、どうしたらいいのだろう。その一番いい方法は、ともかく、たくさんの本を読むことだ。読まなければ何もはじまらない。たくさん読むことは、たくさんの出会いのチャンスを作ることになる。 / なんだ、そんなことかと思うかもしれないが、すばらしい人との出会いも、家に引きこもっていて、人と会おうとしなければ、絶対におこり得ない。本に積極的に近づくことなしに、本との出会いはない。(p28)〉


以上のところを読んで、一冊の本を思い出した。徳岡 孝夫著『五衰の人』だ。


五衰の人―三島由紀夫私記 (文春文庫)

五衰の人―三島由紀夫私記 (文春文庫)

  • 作者: 徳岡 孝夫
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/11
  • メディア: 文庫



そこで徳岡は、ジャーナリストとして自分が接した人物のなかでも三島はとりわけ面白い人物であったと(読みかじったことを思い出したまま記すので、表現は正確ではないが)記していた。それを読んで、やはり面白い本を書く人間は、面白いものなのだ、と思ったのを覚えている。

また、安部公房のことも想起した。ドナルド・キーン博士によると、安部はきわめつけ面白い人物であったそうだが(これも、テレビで見た談話のなかでの発言で、聞きかじったもの)、その安部が、人間を、「情報のカタマリ」と評していたのを思い出す。

人間は、皆、「情報のカタマリ」であり、それなりに面白いはずなのである。そのオモシロさが分かるほどまでに、胸襟を開いて話すことが難しい時代になった。たいへん残念である。


追記:いま、NHKの「あの人に会いたい」という番組をユーチューブ(https://www.youtube.com/watch?v=7vJF19xQDDI)で確認したら、「情報のカタマリ」ではなく、「無限の情報」と(5分38秒)言っていた。それでも、無限の情報のカタマリが人間だと言っても、安部から怒られることはないように思う。

安部公房伝(あべねり著)
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2011-06-06


安部公房伝

安部公房伝

  • 作者: 安部 ねり
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/03/01
  • メディア: 単行本




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